第8章 むすんで ひらいて✔
「ぁ…あの…日輪刀って、色だけじゃなく形も変わるもの、なの…?」
「お前がこの刀の動きを全て見切れたなら、説明してやろう」
「え」
それって、どういう意味。
なんとなくわかるような気もするけどわかりたくない。
思わず私も腰を上げれば、ぴたりと蛇のような刀身を体に添えて蛇柱が構える。
待って待ってちょっと待って。
鬼殺隊を知りたいとは言ったけど、その実力まで知りたいとか言ってない。
というか血を見るのは天元との訓練だけで十分だから。
今は勉強会でしょ。
机に向かって筆を取る時間でしょ。
刀を向ける時間じゃないってか丸腰の私に刀なんて向けないで怖い。
「ダメよ伊黒さん! 蛍ちゃんは鬼でも私達が退治する鬼とは違うんだからッ」
「心配するな甘露寺。こいつの頸は斬らん」
「え。そうなの?」
「そうだ、問題ない。その他を少し斬るだけだ」
「いや待って!」
それは問題なくない!
蜜璃ちゃんもなんかほっとした顔してるけど騙されてる!
命は取らない代わりに滅多刺ししますよって言ってるだけだからそれ!
「煩い。黙れ。さっさと構えろ。でなければこちらから行くぞ」
「いやだから待って…! ただ鬼殺隊のこと学びたいだけなのになんで斬られなきゃ」
「という名目で甘露寺と密室に二人きりになろうとした罪」
「と…っ」
とんだとばっちりだーー!!!
思わず叫びかけた声は叫びにならなかった。
代わりに即打ち込まれた真剣の切っ先に、脳天をぶち抜かれかけたから。
柱ってなんでこうなの…!
杏寿郎も天元もこの蛇柱も!
実力行使唯我独尊!!
一日でいいから穏やかな稽古を過ごしてみたいお願いします!!