第30章 石に花咲く鬼と鬼
「しかし鼠男、お主はいつも大口を叩くが策はあるのかのう」
「はッ見縊るなよ目玉親父。こちとら鬼太郎より長生きしてんだ。場数は踏んでんだよ」
力はなくとも知識はある。
とんとんと己の額を指差すと、鼠男は吸血木だらけの薄暗い町を見渡した。
「オレら鼠にとっちゃだだっ広い町も箱庭みてェなモンよ」
「おお、頼もしい!」
「鼠男の言うことを鵜呑みにするのは危険ですよ」
「うーむ…聊か信用に欠けるがのう…」
「うだこだうっせェなァっテメェらは煉獄を見習えってんだ!」
杏寿郎以外は誰もが渋い顔。
震える肩に怒りを露わにしながら、薄っぺらな胸を張り鼠男は一歩踏み出した。
「いいかよく聞け野郎共!!」
「うむ!」
「はぁ…」
びしりと己を親指で指し示す鼠男に、杏寿郎は威勢のいい呼応を。鬼太郎は溜息を向けた。
その反応には踏み止まりたくもなるが、乗りかかった船。ここで下りては男が廃ると、杏寿郎のように高らかに鼠男は声を張った。
「あの気味の悪いナメクジお化けを見つけ出したけりゃオレ様の手となり足となれ! 媚びへつらって言うこと聞くんだなァ!!!」