第8章 むすんで ひらいて✔
「百聞は一見に如かず! ではまず呼吸の基礎動作から始めるぞ!」
「えっ? もう呼吸講義終わり?」
「立て! 彩千代少女!」
「は、はいっ」
勢い良く立ち上がる杏寿郎につられて、正座していた足を伸ばす。
休む暇も与えずに実践に入るなんて流石杏寿郎。
「まずは! 腹に力を入れろ!!」
「はブッ!?」
「力が弱い! もっとだ!」
き、急にお腹を名一杯叩かないでくれませんか…!
吃驚したから!
吹き出したから!
下手したら嘔吐するから!
「俺の拳に声を耐えられるまでやるぞ、彩千代少女!」
「ち、ちょっと待っていきなりそんな…!」
「甘くはないと言ったはずだ! さぁ歯を食いしばれッ!」
「ッ!」
拳を握る杏寿郎を前に、さっと顔から血の気が退く。
初めて檻を出ることを許された、あの鍛錬初日と同じだこれ。
こんな手厳しい訓練、果たして乗り越えられるのかどうか。叩き込まれる拳を前にして呼吸訓練初日から泣きそうになった。
前途多難です。