第7章 柱《参》✔
半年後の道は見えない。
けど、きっとそれは絶たれているものでもない。
必死にでも探せば、もしかしたら…見つかる、のかも。
「…杏寿郎」
「む?」
「お願いが一つあるんだけど…いいかな」
「俺に出来得ることなら力になろう」
不意に浮かんだ決心を、揺らぐ前にと形に変えた。
「私、呼吸法を憶えたい」
伝えたのは二度目だ。
だけど今度は意味合いが違う。
「自分の力に、できるようになりたい。教えて、くれる?」
まだ呼吸法は一度も教わっていない。
基礎運動から始まって、全身運動、柔軟運動、走り込みに、組手やその他諸々。
毎日の訓練に身体は鍛え上げられたけど、それでもまだ呼吸を憶えるには至らないと杏寿郎の許可は出ていなかった。
でも私には期限ができた。
あと半年しかない。
その間に少しでも自分のものにして、そして自分自身で鬼の欲を防ぐことができるようにならないと。
じっと私を見てくる強い目は、瞬き一つしない。
「そうか!」
すると突然、その答えは出た。
「君に呼吸を憶える"覚悟"はできたようだな。ならば問題無い」
「ぃ…いいの?」
「ああ」
あんなに、まだ教えられないと言われ続けていたのに。
あまりにあっさり了承してくれた杏寿郎に、逆にこっちが驚いてしまう。
「ただしこの場で誓え、彩千代蛍。呼吸を身に付けるならば、今抱えた決意の為に使うと。決して悪用すること無かれ」
そんなの答えは決まってる。