第7章 柱《参》✔
「誓う。必ず自分の為に使いこなしてみせる」
強い杏寿郎の目から、少しも逸らさず宣言する。
何も深い説明はしていないけれど、それだけで杏寿郎は私の思いを汲んでくれた。
「うむ! ならば早速明日から呼吸稽古といこう。先に言っておくが俺は甘くはないぞ」
「勿論」
杏寿郎の厳しさは十分理解してる。
今更怖気付くこともない。
「わあ、なんだかドキドキするわね! 私も応援するわっ」
「ありがとう。蜜璃ちゃんにも協力して貰えると嬉しいな」
「私にできることがあれば、なんでもするから!」
細い腕で力こぶを作る蜜璃ちゃんに、改めてお礼を返す。
とにかく私に出来ることを手探りにでも見つけていかないと…。
「……」
じっと感じる視線。
見れば、其処には始終沈黙する義勇さんがいた。
何も言わないところ反対はしていないのかな。
…えっと。
「義勇さんも、よろしくお願いします」
とりあえずと、了承を得る為に頭を下げてみる。
じっと黒い眼を向けていたかと思えば、僅かな溜息をつかれた。
「俺は自分の役目を全うするだけだ」
それってつまり…見守ってくれるってこと?
相変わらず言葉は足りてないみたいだけど、なんとなく言いたいことはわかった。
どんな形であれ、反対されないなら願ったり。
今の私に余裕はないから。
「皆ありがとう。明日から、よろしくお願いします」
今一度頭を下げる。
大きく頷いてくれる杏寿郎に、笑いかけてくれる蜜璃ちゃん。
義勇さんは相変わらずいつもの無表情だったけど。
柱三人を前にして、小さな藤の檻の中。
此処から、私の残り半年間は始まった。