第7章 柱《参》✔
柱合会議…何度か杏寿郎達の会話で聞いたものだ。
詳しいことは知らないけれど、定期的に行われているお館様と柱だけの会議だとか。
「私としては、君を鬼としてでなく私の子供として自由に息をさせてあげたい。けれどその為には、皆を納得させる然るべき理由も必要となる。実弥には君の死刑を求められたし、行冥にも死こそ救いだと言われたよ」
…そういえばそんなことを言われていたっけ…。
それでも私の命が今此処にあるのは、この人が柱達の提案を呑み込まなかったからだ。
「自分の道は自分の責任だと云(い)える蛍だ。だからこそ、自分でその意志を示して欲しい」
「…?」
「蛍自身で、柱達を納得させて欲しいんだ」
「! そ、んな…無理です」
あの不死川実弥や悲鳴嶼行冥を説き伏せるなんて絶対に無理だ。
実際に会ったからこそわかる。
「無理かどうかは、やってみなければわからないよ。それに事実、君は人を惹き付けるものを持っている。今の義勇や杏寿郎が在るのが確固たる証だ」
そんなこと言われても、私が特に何かした訳じゃない。
義勇さんが目を止めて、杏寿郎が耳を傾けてくれたから繋げられた関係だ。
蜜璃ちゃんなんて元から人ができていた。
そのお陰だ。
「それにこれは、やれるかやれないかの話じゃない。君がやらなければならないことなんだ」
「…っ」
何も言い返せなかった。
この人の言うことは尤もで、寧ろ好機を与えられたようなものだ。
簡単な道じゃないことは、私自身わかっていたはず。
「…わかり、ました」
選択肢はない。
私にできることは、頷くことしか。
「柱合会議までの間はできるだけ蛍の自由にさせてあげたいけれど、隠達の目もある。幾つか制限は出てしまうかもしれないけれど許しておくれ」
「はい…異論ありません」
「ありがとう。それとこのことは、私と蛍だけの秘密だよ。君自身のことだから柱にも知らせてはならない。いいね?」
「…わかりました」
だから監視役に義勇さんじゃなく時透無一郎を選んだんだ。
私に無関心な彼なら、手助けなんてしないだろうから。