第27章 わが情(こころ) 焼くもわれなり 愛(は)しきやし
全身で求め、想いを形にしてくれている。
それに応えずしてどうするというのか。
そんな思考に至る暇もなく、杏寿郎は再び自身に熱を持つのを感じた。
「ぁ…っ」
「…すまん」
「ぁんッ」
再び欲を取り戻す杏寿郎の陰茎に、ひくりと蛍が反応を示す。
その様を見ただけで耐え難くなった。
ゆるりと腰を揺らせば、蛍の声に一層艶が増す。
「蛍、もう少し……っいや」
あと少し、ほんの少しだけ。
そんな言葉はかなぐり捨てる。
「ずっと繋がっていたい…っ」
こうして、このまま。
互いの体の深いところで、ひとつに成っていられたら。
大きな津波のような快楽でなくとも、断続的に絶頂へと追いやられている蛍に、その想いが届いているのかもわからない。
それでも切に吐露した唇に、触れたのは。
「は…っン、私、も…っ」
昂るような熱。
「杏寿郎、と…っずっと、こうして…ッふ、あッ」
快楽に染まりながらも、ぎこちなく口付けられる。
合間に嬌声を零しては、愛を繋いで。
辿々しくも赤裸々に告げる蛍に、理性など持ち得ようがなかった。
「蛍…ッ!」
激しく腰を突き上げる。
求めては求められて、裸の欲を互いに曝す。
強く求める杏寿郎の欲が、先程よりも猛々しい様子で蛍を抱く。
それすらも甘美であるかのように、蛍は口の端に柔らかな曲線を描いた。
「今宵の君を全て奪っていいか…ッ」
「あッん…!」
返事などとうに決まっている。
愚問だと言う代わりに、蛍は力の入らない両手を掻き抱く杏寿郎の頸に回しに縋った。
体を明け渡し、心を添わせる。
蛍の言葉無き行為に、杏寿郎もまた昂りと激しさを増した。