第27章 わが情(こころ) 焼くもわれなり 愛(は)しきやし✓
ただただ快楽に突き落とし、何も見えなくさせていた時とは違う。
あの時は支配欲は満たされたが、同時に苛立ちもあった。
童磨達にもこんなあられもない姿を見せていたのかと。
今思えば、自分勝手な苛立ちだ。
しかし濡れて光る今の蛍の瞳には、しかと杏寿郎が映し出されている。
映し出して尚、それが欲しいという。
理性を残しながらも本能を向けてくる蛍に、胸が熱くならない訳がない。
自然と、握りしめていた小さな欲の品を手放していた。
着物の中に隠したまま、空の手は髪に触れる蛍の手に触れる。
指を絡め、握り返し、自分の愚かさを自嘲した。
「杏寿…?」
「いや。心の底から愛おしいと、そう感じたんだ」
自分の身一つで、こんなにも満たされてくれている蛍がいるのだ。
もう道具に頼る気はない。
「愛してる…蛍」
「ん…私も…」
絡めた手を手繰り寄せ、身を乗り出し、触れ合うだけの口付けを交わす。
それだけで十分だった。
絡む指先が、視線が、愛おしさで熱を生む。
「んッ」
立てた中指が、秘部の中へと潜り込んでいく。
易々と飲み込む蜜壺は、とろとろに蕩けていた。
「少し体を動かすぞ」
「ひゃ…っ?」
にこりと害のない笑みを向けた後、徐に杏寿郎が上半身を起こす。
抱いた腰を顔の傍に引き寄せ、まんぐり返しとなる脚を押さえれば蛍の下半身は軽々と天を仰いだ。
「これなら蛍の顔もよく見える」
「あッひ、ぁっ」
ししどに濡れた蜜口も、その後ろの小さな蕾も、愛撫することによって感じる蛍の顔も、全てが視界に収まる。
満足げに笑えば、流石に羞恥を感じた蛍が物言いたげに瞳を揺らす。
その口が何かを紡ぐ前に、杏寿郎は再び蜜口へと吸い付いていた。
曲げた中指で蜜を掻き乱しながら、溢れる愛液に舌を絡め主張する小さな芽へと塗り付ける。
ちゅるじゅると敢えて音を立てて愛撫を重ねれば重ねる程、布団に埋もれる蛍の顔がふやけた。
羞恥と快楽を混ぜ合わせたような、蕩けた顔だ。