第7章 柱《参》✔
義勇の手で口を塞がれながらも、蛍の目にも見えたもの。
「蛍、ちゃんが…ぉ、鬼…?」
「嘘だろ、おい…」
「そんな…」
覆面越しにでも伝わってくる、前田、後藤、菊池の驚愕の表情。
その目はただ蛍だけに向けられていた。
(──あ)
鬼と成ってからは、すぐに義勇と出会い、此処鬼殺隊へと訪れた。
故に蛍は一般人と鬼として関わったことがほとんどない。
あるとすれば、自ら喰い散らかした己と姉の命を奪った男達だけ。
あの男達と隠達は同じではない。
それでもあの時死んだはずの蛍を前にして、驚愕と疑心と恐怖の入り交じる瞳をしていた男達と、その瞳が重なったように思えた。
そうして、悟る。
(もう、だめだ)
今更何を弁解したところで、彼らは変わってしまったということを。