第26章 鬼を狩るもの✓
だからこそ彼らに呆れや憐みを感じることはあっても、恋しい、憎らしいと思ったことはない。
それがどうだろうか。
蛍という鬼と触れ合ってから、感じたことのない想いが童磨の心を左右させるのだ。
「…早く見つけなきゃ」
想いの根源にいる、蛍を思う。
彼女の瞳に映っている自分を見るのが好きだ。
自分の瞳に映り込む彼女の姿を見るのが好きだ。
ならば見つけ出さなければ。
杏寿郎を後追いすることなく、童磨はあっさりと背を向けた。
竜巻のように消え去ったテンジに連れ去られた蛍。
何処にいるか検討はつかない。
ただし見つけ出す方法はある。
「異空間を創り出す…琵琶の彼女と同じ能力かな」
知り合いの鬼と似た能力。
しかしながら彼女の創り出す異空間の方が、中の構造は複雑で入り組んでいた。
だだっ広いこの空の地の果ては、果たして何処にあるのか。
(簡単だ。わからないなら計ってみればいい)
ぱきりと、白い世界が新たに芽吹く。
「俺の異能(ちから)と、あの子の異能(ちから)。果たしてどちらが先に限界を迎えるかな?」
杏寿郎を襲った時よりも緩やかな速度で。
しかし確実に、白い世界は童磨を中心に放射線状に氷の手を広げていった。
さあ、根比べだ。