第7章 柱《参》✔
縁の下の力持ちみたいな存在なのかなぁ。
剣士ばかりの組織かと思ってたけど、確かにそれじゃ回らない。
鬼殺隊の全貌は知らないけれど、想像しているよりずっと大きなしっかりした組織らしい。
「最初は前田さんに頼んだんだけど、凄く露出の高い服になっちゃったから…別の人に頼んで、ようやく出来上がったの」
前田さん?
蜜璃ちゃんの知り合いの隠なのかな?
確かに蜜璃ちゃんの隊服は、凄く露出高いもんな…あれは前田さん作と見た。
「前田さん発案の衣服も可愛かったけど、それじゃ蛍ちゃんの為にならないから。でもこれなら完璧!」
「えっと…」
そう蜜璃ちゃんに太鼓判を押されて、改めて自分の姿を見る。
確かに蜜璃ちゃんの言う通り、私が愛用していた一張羅と作りは凄く似ている。
着物の柄も、袴の色も。
違うのは衣服の軽さだ。凄く軽い。動き易い。
上質な布を使ってるのかな…でも姉さんが買ってくれたあの一張羅も、上質な布地だったはずだけど。
そして首元と手元を黒い中着と長手袋で隠しているのも以前と違うところ。
肌が見えているのは顔だけだ。
…ってことは、
「まさかこれ太陽光を遮る為だとか言わな」
「そうなの! 陽光を遮断する特別性の布で作った衣服なのよ!」
言ったー!
はっきり言った!
聞き間違えることなく言った!
え本当に?
「こ、これで太陽光を遮断できるの…?」
焼かれない?
隙間とか開いてない?
大丈夫?
慌ててあちこち見渡すけれど、隙間のようなものはない。
特性布の所為か、息苦しさや暑苦しさも感じないし。
でも一つ重要な問題が。
「あの…頭が凄く無防備なんですが…」
どんなに体を守れても、頭が無防備この上ない。
太陽の下に一歩でも出たら即死だからこれ。
「そこも大丈夫、しっかり対策は立ててるからっ」
私の心配を余所に、笑顔で蜜璃ちゃんが見せてきたもの。
「ハイこれっ」
それは旅人なんかがよく使っている三度笠(さんどがさ)。に似たものだった。
深めの広い笠の周りには、半透明の白い布地が垂れ下がっている。
それ…市女笠(いちめがさ)?
最近は余り見ないけど女性用の笠で、垂れ下がる周りの薄い布は虫除けや日除けに使わ…え、それ?
まさかそれを使うの?