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いろはに鬼と ちりぬるを【鬼滅の刃】

第24章 びゐどろの獣✔



「血鬼術が発動しているなら、微かにでも鬼の気配がするものだが…余程発動条件が高度なのか、鬼自身の気配断ちが上手いのか…。最初は与助ばかり追っていたから、人間は鬼と違い気配で追えない。そう片付けていたが、それだけではないのかもしれないな」

「お前が何度も捜索して見つけられねェってことは、正攻法じゃ暴けないってことだ。松平はわかんねェが、神隠しを仕掛けてる鬼が条件付きの可能性は高ェなァ」

「…条件か…」

「柚霧の記憶にある、消えた女がいただろォ。そいつが消える間際の状況を知れば、突破口が見つかるんじゃねェのか」

「消えた瞬間を誰も知らないんだ。蛍の記憶には残っているらしいが、出会った直後に消えた訳でもない。…ああ、だが彼女のものかもしれない髪飾りは出会ったその日のうちに見たと」

「松平が持ってたんだろォ? となると、お前らと別れた直後に女が消えた可能性は高ェなァ。残された髪飾りを松平が拾ったのかもしれねェ」

「ううむ…」

「最後に別れた時、女はどんな特徴をしてた」

「うむ…洋装だったと。蛍曰く、容姿端麗で家柄に沿った立ち振る舞いをしていたそうだ。それでいて高飛車な訳ではなく、物腰の柔らかい可憐な雰囲気を持ち合わせていたと」

「…随分と褒めるじゃねェかァ」

「俺の意見じゃないぞ。蛍から聞いた話だ」

「へェ」

「何か言いたそうな目だな? 言っておくが断じて俺の意見ではないぞッ」

「別に何も言っちゃあいねェだろォ。随分とまァ柚霧とは正反対な女だと思っただけだわ」

「正反対…か?」

「アイツは可憐なんて言葉とは程遠いだろうがよォ」

「そうか?」

「そうだろ」

「………そうか?」

「意味深に溜めて同じ返しすんじゃねェ。そうだろォ」

「不死川の言葉の意味を改めて考えていただけだ。が、やはり頷けはしないな。蛍には蛍だけが持つ愛らしさがある」

「…へェ…」

「何か言いたげな目だな!?」

「別にィ。少し見ないうちに、えらく鬼馬鹿になったもんだと呆れただけだ」

「別にと言いながら容赦なく突っ込んできていないか…しかし俺は鬼馬鹿ではない。蛍に対して偶に頓馬(とんま)になってしまうだけだ!」

「つまり鬼馬鹿だろォが」

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