第6章 柱たちとお泊まり会✔
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は、と目を覚ます。
覚醒は一瞬だった。
普段は半分程しか開いていない義勇の切れ目が、ぱちりと瞬く。
いつの間にやら寝落ちていたらしい。
顔を支えていた掌を退いて顔を上げれば、少しばかり頸の関節が軋む。
首筋を擦りながら周りを見れば、隔てた襖の外がほんのりと明るい。
どうやら朝日が昇ってきたようだ。
(すっかり意識を飛ばしていたな…)
夜通し監視するつもりはなかったが、座ったままこうもぐっすり寝るつもりもなかった。
自分の失態に溜息をついていると背中に温もりを感じる。
ゆっくりと頸を回せば、視界の端に金と朱の明るい髪色が映る。
記憶にはないが、安定を求めて杏寿郎と背中を預け合ったのだろうか。そのまま互いに眠りに落ちていたらしい。
体を離せば寝落ちている杏寿郎が起きてしまわないか。どうしようもなく固まっていると、ほんのりと膝元が温かいことにも気付いた。
視線を落とせば、こんもりとした布団の山が傍にある。
その中では蛍が眠っているのだろう。
何気なく布団を掴み半分程捲ったところで、義勇はぴしりと固まった。
義勇の目線の先には、寝ている間に温もりを求めて擦り寄ったのか。義勇と杏寿郎の膝元にぴたりと猫のように身を寄せて丸くなる蛍がいた。
それだけならここまで驚きはしなかった。
固まったのはその姿にある。
寝入る前は義勇の羽織の中に潜り込んでいた蛍だったが、今はその寝顔を晒していた。
それだけではない。
意識が途切れた所為なのか、元の姿に戻っている四肢は羽織の中には収まらず、すらりと肌を覗かせていた。
二の腕と太腿とが、ぎりぎりまで覗く素肌。
女性としての大事なところは辛うじて隠せているものの、ほんの少しでも身動げば簡単に見えてしまいそうだ。
「お──」
「すぅ…すぅ…」
思わず起こそうと呼び掛けた声と手が止まる。
規則正しい寝息で体をほんの少し上下させながら、ぐっすりと眠っている蛍を起こすのは忍びなく。
ここでもし起こして驚かれでもしたら、それこそ見てはいけないものを見てしまうかもしれない。