第6章 柱たちとお泊まり会✔
興味なさげに、すたすたと横を通り過ぎていく。
今度は抱えて行かないのかと不思議に思って目で追えば、それが顔に出ていたのか。義勇は頸だけ捻り蛍を見た。
「それだけ口を動かせるなら、足も動かせ」
「ぁ…う、ん」
「もたついてたら置いていくからな。彩千代」
「!」
ただの名詞のように呼ばれていた時とは違う。
確かな呼び掛けにその顔を見れば、既に義勇は背を向けていた。
見えるのは、癖の強い長髪を一つ結びにした背中だけ。
まじまじとその背を見上げていた蛍は、はっとすると慌てて後を追った。
もたついても待ってはくれないだろう。
跛(びっこ)を引く筋肉は、まだ違和感が残る。
なのに不思議と背を追う足にそこまで痛みは感じなかった。