第24章 びゐどろの獣✔
「きょ、じゅろ?」
「はぁ…」
「えっ何。溜息?」
「何故、君は、こう」
「な、何」
「…辛抱堪らん」
「何が。なんの辛抱。なんの我慢?」
「いい、わかってくれるな。わかると君は止めてしまうだろう」
「だから何が…って、ふふっな、何。それくすぐったい。ぐりぐりしないで…っ」
腕に閉じ込めるように抱きしめて、感情のままに頬擦りをする。
堪らずこみ上げる愛おしさを抑えるように、杏寿郎は深く息をついた。
「貰っているのは、俺の方だな…」
「え?」
ぼそりと告げた声は、ほんの少しの熱を帯びて。
「すー…すー…」
「…わぁ」
「…よもや」
その後。
すっかり冷めきってしまった茶を淹れ直して蛍と杏寿郎が千寿郎の所へと戻れば、待ち侘びた少年は夢の中へと旅立ってしまっていた。