第23章 もの思へば 沢の蛍も 我が身より✔
「…松風さん、千くんには優しいから。一緒にいてくれたら百人力だね」
噛み締めるように呟いて、蛍もまたその手を握り返した。
「頼りにしても、いいかな」
「任せてください」
暗い瞳と、明るい瞳が重なり合う。
似ても似つかない正反対の色を宿した二つの目は、〝家族〟という繋がりに嬉しそうに笑い合った。
「じゃあ今度こそ、本物の羽衣を観に行かなきゃね」
「はいっ」
微笑ましいその光景に、向かいで腕組みをして笑っていた杏寿郎もうむと頷く。
「俺もそこに入れて欲しいのだがな!!!」
「うわ吃驚したっ」
「兄上! も、勿論ですっ」
しっかりと釘を刺しておくことも忘れずに。