第23章 もの思へば 沢の蛍も 我が身より✔

「く…狭いな、流石に…」

「は…っ」

「柚霧、大丈夫か…っ？」

「は、い…」


　膝小僧に噛り付くように、顔を押し付けた柚霧の眉間に皺が寄る。

　然程ではないものの、痛みは確かにあるのだ。
　初めて秘部を男根に貫かれた時とはまた違う、異物で無理矢理に押し広げられていく痛み。


「大丈夫、です、から…止めない、で」


　それでもと、見下ろす杏寿郎に訴えた。


「杏寿郎、さんが、欲しいから」


　杏寿郎だけではない。
　自分だってそれを欲したのだ。

　浅く息衝きながら告げる柚霧に、杏寿郎は奥歯を噛み締めた。
　ふー、と呼吸を整えて、腿の付け根を支えるように持ち上げる。

　ゆっくり、ゆっくりと、柚霧の体を貫いていく。

　杏寿郎の腰と柚霧の腿が触れ合えた時には、太い眉の上に薄らと汗を滲ませていた。


「はぁ…柚霧…挿入ったぞ」

「…ん、」

「まだ耐えられる、か？」


　様子を伺うように、膝に顔を埋める柚霧の髪を優しく掬い払う。
　映える薔薇色を目元に咲かせた瞳は、快楽とは別の涙を滲ませて微笑んだ。


「まだ、じゃなくて、もっと…です」


　ようやく一つになれたのだ。
　ここで終わりになんてさせない。

　髪に触れる手に甘えるように、柚霧は肌を擦り寄せた。


「っ」

「ぅ…っ？」


　柚霧が魅せる、蛍の面影を残す甘えの仕草。
　そんな些細な仕草一つで、杏寿郎の下半身の熱が高まる。

　思わずびくりと体を竦めて、自分の中で質量を増す熱に柚霧は目を見開いた。


「…すまん…っ」

「いえ…杏寿郎さんが私で感じてくれるなら、嬉しいです、から。…止めないで」

「っ柚霧」

「んく…ッ」


　甘い誘いに、尚の事熱は昂ぶる。
　はぁ、と熱い息をついて腰を揺らし始める杏寿郎に、柚霧は下唇を噛み締めた。

　杏寿郎に負担をかけまいと力を抜こうとしても、体が強張ってしまう。
　指とは比べ物にならない質量が揺さぶってくる度に、息苦しさと痛みが走る。
　その痛みを外へ逃がす為に、短く浅い呼吸を繋いだ。