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いろはに鬼と ちりぬるを【鬼滅の刃】

第23章 もの思へば 沢の蛍も 我が身より✔



(今は、松風さんの店の柚霧なんだから)


 力強く送り出してくれた松風の顔を思い出せば、自然と柚霧も背筋が伸びた。
 女将である彼女の顔に泥を塗ることはできない。
 告げられた通り、今の自分にあるもの全てを使って魅せなければ。


「これは潤滑剤です。杏寿郎さんが先程愛して下さったところとは、違って…後ろは感じることで、濡れたりはしませんから。これを使って滑りけを作るんです」

「成程」


 己の顎に手を当て真剣に耳を傾ける杏寿郎は、とても性交のそれを学んでいるようには見えない。
 そんな生真面目な様にくすりと微かに笑うと、柚霧は手にした和紙のようなそれを口に咥えた。


「お湯で溶かすよりも、唾液でふやかした方が効果は持続するんです。だから、こうして…」


 口の中に完全に含んでしまうと、もくもくと租借するように顎を動かす。
 食べてしまうのでは、とそわそわと落ち着きなく見守る杏寿郎の目が、ぴたりと止まる。

 ──とろり

 口の前に掌を当てた柚霧の唇から、それは雫のように零れ落ちた。
 唾液と混ざり合い液状化した通和散が、柚霧の掌にゆっくりと降下していく。
 粘り気のある白いそれを舌と指に絡めて落としていく様は、まるで杏寿郎の白濁の欲を味わい尽しているようにも見えて。


「…っ」


 思わずごくりと、杏寿郎は喉を鳴らした。


「ん…っ」


 ちゅぷりと濡れた唇から指を引き抜いて、掌に溜まった潤滑剤となる液状の通和散を掬う。
 膝を立てて座り込んだまま、ゆっくりと脚を開くと柚霧は恥ずかしげに手で脚の付け根を隠した。


「その…あんまり、じっと見ないで下さいね…」

「…努力は、する」


 そんなことできるはずもない、と思いながらも、杏寿郎は小さな声でようやく頷いた。
 その目は食い入るように、柚霧の指が向かう先を見つめている。

 赤い着物が左右に開かれ、隠していた肌を露わにする。
 掌を傾けてとろりと落ちる通和散が、柚霧の秘部と後孔を濡らした。

 くちゅりと己の指にも液を絡ませ、柚霧は目を向けないように背けたまま、指先の感覚だけで後孔へと触れた。

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