第6章 柱たちとお泊まり会✔
「生まれてきたこと自体が、可哀想でならない…」
だけどこの男は違った。
感情のない瞳に、同情や軽蔑は見えない。
だけどその言葉に、今度は自分の体温が下がった気がした。
かわい、そう?
私は、生まれたこと自体が、かわいそう、なの?
人間の時の感情が思い起こされる。
なんで忘れていたんだろう。
同情されるのが嫌いだったのに。
私と姉さんにはあんな道しかなかったけど、それでも慎ましくも二人でいた時は幸せだったんだ。
確かに心から笑ってた。
生きることに前を向いて進めていた。
知らない癖に。
私の心も、思いも、嬉しいことも、悲しいことも、何も知らない癖に。
可哀想なんて決め付けないで。
私の人生を哀れまないでよ。
そんな選択肢しかなかったけど、自分が歩んできた道が誇れるものだとも思ってないけど、そんな自分が可哀想だと思ったことはない。
悲観はしたくない。
だって、これは私の生きている道なのに。
私まで、その思いに同調してしまったら。
認めてしまったら。
私は一歩も動けなくなってしまう。