第6章 柱たちとお泊まり会✔
「いいのか?」
「うん…」
「…そうか」
微かに下がる杏寿郎の眉に、罪悪感を覚える。
私の為にって、善意で言ってくれたのに。
…でも、やっぱり頸を縦に振ることはできなかった。
「はぁ…確かに色々疲れたな…特に最後。文句無しに最後」
「でもとっても楽しかったわ! また皆でお泊り会したいなぁ」
「…甘露寺が望むなら、いつでも参加する」
「本当っ!? ありがとう伊黒さん!」
夜の怪談は、突然現れた新たな柱の男で一区切りとなったらしい。
各々が布団に向かう中、私もそっと杏寿郎に床へと下ろされた。
「きょうじゅろ…」
「…ん?」
「…ごめん」
「何故謝る?」
「……」
「謝る必要などない。君が心地良く眠りにつける方が、俺にとっては大事だ」
眉が下がったのはほんの少しの間だけ。
目線を合わせるように腰を落としてくれる杏寿郎は、すぐに優しい笑みを見せてくれた。
それでも私の心は晴れなかった。
私の心地良い場所は杏寿郎の隣だ。
今この場で問われたら、迷うことなくそう答えられる。
でも…ごめん、なさい。傍には、いられない。
「んじゃ俺らも寝るか。何気に一時回ってるしな」
「しのぶちゃんはいいのかしら…」
「悲鳴嶼さんとの用事が終わったら、勝手に戻ってくるだろう。心配する必要はない」
杏寿郎だからこそ、傍にはいたくない。
「俺達も寝よう、彩千代少女」
「……うん」
だって、
喉が乾いて、仕方がないから。