第6章 柱たちとお泊まり会✔
皆が騒ぐ中、一人黙ったまま冨岡義勇が不意に腰を落とす。
その手で拾い上げたのは、騒ぎと共に転がってしまった蝋燭…あ。
唯一残っていた蝋燭の炎は、私と冨岡義勇と蜜璃ちゃんの三本だけだった。
その小さな炎はさっきの騒動であっという間に消えてしまったみたいだ。
まぁこの騒ぎじゃね…消えるよね…。
…というか。
「お。罰則だなこりゃ」
「え!?」
同じくそれに気付いた天元の言葉に、思わず過剰反応してしまった。
待って。罰則って誰が。
誰が恐怖の不死川おはぎになるの。
「これはさわぎでしかたなくきえてしまっただけで…っ」
「結局騒いだってことだろ。お前と甘露寺の悲鳴が原因だな」
「わ、私が大声上げちゃった所為よね…ごめんね蛍ちゃん…」
潤んだ瞳で両肩を落とす蜜璃ちゃんに、慌てて頸を必死に横に振る。
蜜璃ちゃんは悪くないからっ
「だいじょうぶだよ、ふかこうりょくだからっこんなのばっそくになん」
「そうとなれば不死川さんに沢山おはぎを届けなきゃ!!」
「て…」
…え…ああ…やる気、なんですね…。
要らない心配だったんですね…。
というかあの不死川実弥が怖くないんだ。
凄い蜜璃ちゃん。
その度胸とやる気を一欠片でも分けて欲しい。
私は怖いです、あの人。
「みつりちゃんは、こわくないの…?」
「不死川さんのこと?」
恐る恐る頷けば、両手で拳を握ったまま蜜璃ちゃんは笑顔を弾けさせた。
「傷だらけでとっても素敵よね! きゃッ言っちゃった♡」
「……」
どこが素敵なのか…よくわからない…。
あ、伊黒小芭内から殺気染みた空気を感じる。
「じゃあ、あの…しなずがわおはぎは、みつりちゃんにまかせても」
「何言ってんだお前も罰則だっつの」
でもこれは逃げ出す絶好の機会だと告げれば、瞬く間に期待は壊された。
冷ややかに突っ込む天元に。
「甘露寺と冨岡と仲良くおはぎで突撃して来い」
「えぇ…っはしらがふたりもいるなら、わたしはふようじゃ」
「な訳あるか連帯責任だっての」
「そんな…!」
尚も抗議しようとした勢いが急に阻まれた。
目の前に、ぬっと壁のような巨大な影が覆い被さったからだ。
杏寿郎の腕の中で竦み見上げた先には…あの、巨大な数珠の男がいた。