第6章 柱たちとお泊まり会✔
「きゃああぁあああ!?!!!」
「ひっ…んぷッ!?」
「むッ!?」
突然だった。
一斉に飛び起きる柱達に、蜜璃ちゃんの悲鳴が木霊する。
同じく悲鳴を上げそうになった途端、冨岡義勇に胸倉を掴まれて杏寿郎へと放られた。
余りに一瞬で受け身も取れなかった。
だけど驚きながらも杏寿郎が受け止めてくれたから、その胸に顔を埋めるだけで済んだ。
杏寿郎の腕の中から見えたのは、日輪刀の鞘に手を添え構えている冨岡義勇と天元と伊黒小芭内。
さっきまで腰には何も下げてなかったのに、いつの間に武器を手に取ったのか。
その目は一様に襖の向こうの人影だけを睨んでいる。
一瞬にして凍るその場の空気に、ただ一人胡蝶しのぶだけが正座したま…ま?
「まぁまぁ。夜分遅くに珍しい訪問の仕方ですね」
襖の向こうの人影ににっこりと話し掛けた。
「悲鳴嶼 行冥さん」
ひめじま…ぎょうめい?さん??
すっと音もなく襖が開く。
月の明かりに照らされ影を作っていた本体が、其処に立っていた。
天元よりも更に大きな体格で、頸や手首に大きな数珠を幾つも巻いている。
額を一直線に横に走る大きな傷跡に、その下にあるのは哀しげに下げられた眉、そして瞳孔が見えない白い瞳。
その大男は数珠を擦り合わせて合掌すると、低い声で。
「南無阿弥陀仏…」
と唱えた。
……人間?
「な、お…っ悲鳴嶼さんだァア!? ちょッいつからッそんな茶目っ気になったんスか! 吃驚したわ!!」
「ひ、ひ、ひめ、ひめ、じま、さん…っ?」
「大丈夫か、甘露寺」
「び、び、吃驚したぁ…!」
「むぅ! 気配を消してここまで接近されようとは! 柱として不甲斐なし!!」
どうやら柱全員、顔見知りらしい。
冨岡義勇も黙って刀を退いてるし…ということはあの男の人も柱なのかな。
「胡蝶の下へ調薬の頼みに伺った…すると此処だと聞いたのだ…」
「まぁ、そうだったんですね。アオイに事情を伝えておいてよかったです」
「いやお前わかってたんじゃねぇの…どんだけ余裕なんだよ…」
「そんな。でも皆さんの驚き様は、見ていてとても面白かったですよ」
「面白くねーよ。寿命縮まったわ」
「凄い悲鳴上げちゃった…恥ずかしいわ…ッ」