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いろはに鬼と ちりぬるを【鬼滅の刃】

第6章 柱たちとお泊まり会✔



「駄目だ、佐本。やはり怪しい。新たな鬼かもしれない」

「…わかったよ。じゃあ一度、調べてみよう」


 鬼であるならば、鬼殺隊として見過ごす訳にはいかない。
 意を決して、音の方へと足を向けることにしました。

 しかし不思議なことに、いざ音の方へ向かうと謎の足音はついてきません。
 それどころか段々遠ざかっているようにも聞こえるのです。

 相変わらず佐本の耳には聞こえないようで、私の耳だけを頼りに足音を追いました。


「おいッまだその音ってのは聞こえるのかっ?」

「ああ、確実に聞こえてるッ」


 最後は小走りに追うような形となっていました。
 パキパキと何かを踏む音が連続して続く、真っ暗な山道の中。
 追い続けた先の到達地点は突然現れました。

 茂みの中を掻い潜り、開けた場所。
 其処に道中は見かけなかったものを目にした私達は、同時に足を止めました。

 其処にあったのは、小さな祠(ほこら)のようなものでした。
 祠の上に作られた小さな屋根には注連縄(しめなわ)が飾られており、ぽつんと其処に建っているのです。
 咄嗟に辺りを見渡しましたが鬼らしき影は見えません。
 そしてあんなに連続して聞こえていた足音も、ぱたりと止んでいることに気付きました。


「なぁ、岸田…あれか?」

「…わからない」


 佐本の言った"あれ"とは祠のことでしょう。
 二人して同じものを目にして、そして同じ空気を感じていました。

 祠には隙間がない程、びっしりと大量の御札が貼られていたのです。
 神を祀ると言うよりも何かを閉じ込めているような、そんな出で立ちの祠。
 謎の足音が消えたというのに、なんだか胸に重いものがくるような気味悪さでした。


「とりあえず此処まで来たんだ、調べてみよう」


 佐本の言う通り、何もせず引き返す訳にはいきません。
 祠の中から鬼が当然飛び出してくる可能性もある。
 日輪刀を鞘から抜くと、互いに目配せをして左右から挟み撃ちにすることにしました。

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