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いろはに鬼と ちりぬるを【鬼滅の刃】

第22章 花いちもんめ✔



「一つ訊きたいんだが、なんでそんなあやふやな情報なんだ? あんた情報屋なんだろ?」

「そう言ったって情報自体があやふやなんだ。はっきりとした行方不明者の捜索依頼は出ていない。が、明らかに女郎が減ったという店の者もいる。消えた"らしい"ってことしかわかっちゃいねぇのさ」

「消えた、らしい…?」


 天元の問いに東屋もお手上げとばかりに両手を軽く上げる。
 ただ一人、千寿郎だけは真剣な面持ちで一つの予感に辿り着いていた。


「風の噂と仰いましたが何処から仕入れた情報なんですか?」

「何処からっつったってなァ…風の噂は噂だよ坊主。俺も情報屋を主軸に働いてる訳じゃないんでね」

「そうですか…」

「何か気になることでもあった? 千くん」

「いえ…少しだけ」

「なんでもいい、あるなら言ってみろ」

「…似てると、思ったんです」


 蛍と杏寿郎に促されて、千寿郎はおずおずと切り出した。


「前に私が兄上達に話した、神隠しと」

「…そういえば」

「そんな話もあったな」

「神隠しィ? なんだ千坊。その都市伝説みたいな話は」

「本当にただの都市伝説だと思っていたんです。でも聞けば聞く程似てるなぁと」

「突然誰かの消息が絶たれるが、それに気付く者はいない。しかし確実に周りの人が減っていく。それが千寿郎の聞いた神隠しだそうだ」

「…都市伝説は伝説のままでいいと思う…」

「どうした蛍、顔色がよくないな!」

「大方ビビってんだろ」


 溜息をつく蛍がジト目を向ければ、面白そうな玩具を見つけたような顔で、天元は笑った。


「いいじゃねぇか、神隠し! 派手に面白ぇ。その正体を暴いてやろうぜ」

「乗り気なところ悪いが、どうやって暴くってんだ? これ以上の情報は生憎とうちにゃないが」

「それだけわかってりゃ十分だ。後は俺流戦法でいく」

「宇髄流か? ふむ、面白そうだな!」

「兄上以外の柱の方の働きが見れるんですね…!」

「…嫌な予感しかしないけど」


 煉獄兄弟の爛々と輝く瞳とは裏腹に、蛍は一人眉をひそめた。
 天元が思い付く戦法は、罰則も込みで何かと子供の祭り事のようなものが多いのだ。

 今回は、果たして。


「して宇髄。その戦法とは?」

「ずばり〝おぼこ作戦〟だ!」











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