第22章 花いちもんめ✔
(そもそも、こういうのが弟っていうもんなのかね)
「チュッ!」
「ん?」
一瞬脳裏に浮かんだ、自分と同じ切れ目に大人びた顔を持つ黒髪の青年。
弟という枠組みは同じでありながら、性格は千寿郎とは真逆のような男だ。
しかしはっきりと思い起こす前に、口を挟んだのは小さな鼠の主張だった。
見れば一仕事終えた忍鼠が、天元の下へと駆けてくる。
するすると大樹のような体を登り、瞬く間に肩へと移動する。
天元にしか理解できない鳴き声で事の経緯を報告する鼠に、さてと元来た道へと振り返った。
「どうやら積もる話とやらは終えたようだぜ。煉獄」
今は己の過去を振り返っている時ではない。