第21章 箱庭金魚✔
「ちゃんと知りたい。学びたいんです。姉上にばかり我慢させないように」
年齢や性別などは関係ない。
家族だと思えるからこそ。
「私だって姉上の家族です。兄上のように、鬼としての姉上も含めて、支えられるようになりたい」
果たして杏寿郎のように、潔く己の血を差し出せるかと訊かれればわからない。
それでももし蛍が望むなら、それも構わないと思えた。
握り締めていた拳を解く。
ちらりと一度己の掌に視線を落とすと、千寿郎はゆっくりそれを差し出した。
「手を、繋いでもいいですか?…無理でなければ」
昼間、蛍が抱擁を求めたように。
問いかけながら、様子を伺うようにそわりと待つ。
縦に割れた緋色の瞳が、不意に揺らいだ。
「──っ……うん」
小さな手に添えられる、血に染まった手。
握り返したそれは見た目とは裏腹に温かくて、千寿郎はほっと笑みを浮かべた。
「おうちに、帰りましょう」