第6章 柱たちとお泊まり会✔
胡蝶しのぶの布団の中が一番嫌だけど、冨岡義勇の胡座の中も嫌だ。
背筋が緊張で伸びる。
浴衣越しにでも触れる体温に汗を搔く。
近過ぎて逆に見上げられない。
「あーあ。先を越されたな、煉獄」
「む、むぅ…冨岡と彩千代少女は曲りなりにも男と女だ…一つの布団で共に寝るなど」
「さっきまで誘おうとしていたお前が言える台詞かよっ」
「むぐ…」
笑う天元に背中をバシバシ叩かれてる杏寿郎が、ぎこちなく固まってる。
珍しいな…というかこれじゃ杏寿郎の助けは期待できないみたいだ…どうしよう…。
男とか女とかこの際どうでもいい。
杏寿郎の隣の方が絶対に安心できる気がする。
というか杏寿郎の隣しか安心して眠れそうな場所がない。
「た、たす…け…」
「……」
す、凄い、背中に視線を感じる。
背中というか後ろの斜め上辺りから。位置的に頸の付け根辺りに視線を感じて冷や汗が出る…!
小さな声で振り絞ろうとした台詞は意気消沈してしまった。
…本当に寝首を狩られたらどうしよう…。
「蛍ちゃん、ぷるぷる震えてる…大丈夫かしら…」
「あんな男の手中に落ちればな。しかし訓練にはなるだろう」
「そ、そっか…これ訓練だものね。うう、悲しいけど蛍ちゃんの為になるなら…っ」
待って。ならない。
ミジンコ程にもならない。
蛇男の口元の包帯の下が透けて見えそうだ。
絶対笑ってる。ほくそ笑んでるから。
ざまあみろって笑ってるから気付いて蜜璃ちゃん。
「しかし冨岡よ。その格好のまま寝る訳にもいくまいが…」
どうするのか、と杏寿郎が問い掛けてくる。
確かに座ったまま寝られはしないけど…って本当に寝るのこの人と。
い、嫌だ。
「こうする」
思案するようにふと沈黙を作ったかと思えば、ごそりと背後の大きな体が動いた。
軽々と背後から抱えられて、ころりと横になる体。
布団を掛けられて寝る体制になっ…待ってなんか近い凄く近い!