第6章 柱たちとお泊まり会✔
「こんなに小さくなれたなら私と一緒に寝られるわね! ねッ♡」
「ぷはっ」
すりすりと頬擦りされながらも、どうにかその胸から顔を半分だけ持ち上げることができた。
別にそれはいいんだけど、こんなふうに羽交い締めにされて寝るのはちょっ…うわ。
「……」
蜜璃ちゃんの腕の中で目が合ってしまった。
かっ開いた左右違う色合いの目で見てくる、それはそれは怖い顔の男と。
(寝るのかその胸に顔を埋めて寝るつもりか寝てみろその瞬間が貴様の黄泉への入口だ)
って言ってるような気がする…!
というか絶対言ってる!
蜜璃ちゃんの胸に埋もれて寝ようものなら、窒息死じゃなく斬殺されそうな気がする!
「き、きょうは、えんりょしておこうかな…」
「えぇえ!? なんでぇ!?」
だって、その、蛇男さんが凄く怖くて。
がんっと衝撃を受けた蜜璃ちゃんの顔が哀しみに満ちる。
罪悪感は湧いたけど、窒息しかけてたこともあって緩んだその隙に腕から抜け出した。
ごめん蜜璃ちゃんっ
「なら私の所へおいで下さいな。同じ女同士、気兼ねなく寝られるでしょう?」
「ひっ」
抜け出しぽとりと敷布団に落ちれば、笑顔で捲った布団の中に誘ってくる胡蝶しのぶに全身ぞわりと粟立った。
無理!
その布団の中こそ黄泉の入口な気がする!
絶対寝ている間に両目潰される…! 私鬼だし!!
「なんつーか、あれだな。蛇に睨まれた蛙って感じだな。そのまま食われるんじゃね?」
「ふぅむ…彩千代少女よ、君が構わないなら俺の──」
「わっ」
天元の隣で手招きしようとする杏寿郎が見えて、天の助けとばかりに立ち上がる。
と同時にふわりと体が宙に浮いた。
背丈に合わず伸びてしまった寝間着が揺れる。
目線の高さが合ったのは…冨岡、義勇?
軽々と片手で私の帯を掴み持ち上げていたのは、あの微動だにしなかったはずの彼だった。
驚き声を上げる間もなく、すとんと座り込んだ胡座の間にぽとりと落とされる。
……え?
「俺が見張る」
見張…え?
あ、監視役だから…?
だから私と一緒にいやいや嫌だ。