第6章 柱たちとお泊まり会✔
「ならば今日の稽古は体を休めること改め、睡眠も取り入れた"休息"だ! いつ如何なる時も体の静と動を使い分け、必要な時にこそ身体の向上を可能とする技! その為の稽古だな!」
いや…うん…いや、うん。
そういう意味で言ったんじゃないけど…なんか余計にややこしいけど、もうそういう意味でいいです。
そっちの方が杏寿郎も休んでくれそうだし。
「ええと…じゃあ、しっかり休んで──」
「待て!」
「?」
杏寿郎を一刻も早く休ませる為にと、今一度頭を下げて背を向けようとすれば止められる。
なんだろう?
「言っただろう、いつ如何なる時も静と動を使い分けること。それは如何なる場面でも使い分けられるようにすることだ!」
「うん…?」
つまり何が言いたいのか。
頸を傾げつつ目で問えば、姿勢良く杏寿郎は腕組みしたまま胸を張った。
「ならば早速準備をしよう!!」
……なんの準備?
「わぁっ! ふっかふかのお布団!」
「お前の屋敷は合宿所かよ。よくこんなもん揃えてたな、継子は一人もいねぇのに」
「はっはっは! 備えあれば憂いなし!だ!」
「なんだこの寝間着は…何故全員分の寸法が揃っているんだ。何故全部に炎の模様が入っているんだ」
「まぁまぁ、煉獄さんらしい寝間着じゃありませんか。ねぇ冨岡さん?」
「俺は参加したつもりはない」
…なんだろう、これ。
道場と同じに、だだっ広い畳の大部屋。
そこに頭をつき合わせるような形で並べられている、ふかふかのお布団達。
天元の言う通り、何処の合宿所かと思わせられるような並びだ。
それを見下ろす皆が揃って着ている薄い浴衣の寝間着は、この間蜜璃ちゃんとお風呂後に借りた時と同じ炎の模様が入ったもの。
帯で丈を調整できるにしても、天元のような大男から胡蝶のような小柄な女性までいるのに。
伊黒小芭内の言う通りなんで全員分の寸法が揃っているんだろう。
どれだけ備えているんだろう、此処。
というか、あれこれ言いながらも皆それを着て此処にいるって、どういう状況。
いくら杏寿郎の勢いが強かったにしろ、唐突に生まれた休息稽古なんてものに参加するなんて。
柱ってやっぱり暇なのかな…。