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いろはに鬼と ちりぬるを【鬼滅の刃】

第6章 柱たちとお泊まり会✔



 蛇男はどう見たって蜜璃ちゃんについて来ただけだろうけど。
 でも天元への思考回路は共感が持てるかもしれない。


「甘露寺と伊黒も足を運んでくれて嬉しいのだが、今日の稽古は…」

「あっそれなんだけど! さっき来る途中で冨岡さん達にも出会ったんです!」


 杏寿郎の言葉に、ぱんと手を合わせた蜜璃ちゃんが唐突に笑顔で告げてくる。
 驚いたのはその名前と、それが複数形であったこと。

 冨岡義勇が私を迎えに来るにはまだ早い時間帯だし、"達"って。他にも誰かいるの?
 もしかしてあの不死川って男?
 ……それは…あんまり、会いたくないかも…。


「だから一緒に来ちゃった。冨岡さんと、しのぶちゃん!」


 蜜璃ちゃんが告げた名前は予想していたものとは大きく違っていた。
 だけどその名に僅かに緊張していた体が更に緊張する。

 しのぶって…あの胡蝶しのぶ?


「こんばんは、煉獄さん。夜分遅くにお邪魔しますね」


 ふわりと、まるで蝶が花弁に止まるかのように。柔らかい身のこなしで道場に足を踏み入れたのは、あの胡蝶しのぶだった。
 そこから一歩遅れて無言で踏み入ったのは、感情の見えない瞳をした冨岡義勇。


「彼女の体の様子を診に来ました。ああ、完治されたようですね」

「うむ! 昨夜から胡蝶には世話になりっ放しだな。すまない!」

「いえいえ。これも私の仕事の一つですから」


 そうだ…私の体は胡蝶しのぶが診ていたんだっけ。

 朝方受診した時は私の意識は完全に飛んでいたから記憶なんてない。
 でもどうやら胡蝶しのぶは柱の中で医療関係も担当している人間なんだと、そこで知った。
 天元の体も治療したみたいだし…私の治療は目的そのものが別だろうけど。


「体の機能がどれ程回復しているのか確認をしたいので、稽古の見学をさせて貰ってもいいですか?」

「そのことなのだが、今日の稽古は中止にしようと思っていてな」

「あら」

「えっそうなんですかっ!?」

「うむ! 彩千代少女も万全ではないし、一刻も早い回復は一刻も早い次の稽古へと繋がる。その為の中止だ!」


 今度は蜜璃ちゃんの耳にも届いたみたいで驚いていたけれど、杏寿郎の提案には納得していた。
 私も一日休みを貰えるのはありがたいんだけど…。

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