第5章 柱《弐》✔
「あれってもしかして…風鈴の爆発、かしら…」
「終了だな」
「ということは勝敗がついたのっ?」
「爆破にやられていない方が勝者だ。と言っても予想はつくが」
「あ! 冨岡さん!」
小芭内の呟きに、駆け出したのは義勇だった。
今度はそれを止めることなく杏寿郎も後に続く。
「甘露寺達は屋敷で待機!」
「わ、わかりました…っ二人をお願いします!」
二人の背をはらはらと見送りながらも蜜璃は頷いた。
願わくば蛍も天元も、二人共に揃い戻って来るようにと。
体が、軽い
ふわりふわりと、浮いているような
そんな感覚
…浮いたことなんてないのに、なんでそんなことがわかるんだろう
散々打ちのめされた体の痛みはない
爆風で感じた凄まじい熱の痛みもない
ただただ、心地良い
…嗚呼、これが 死 なのかな
『……ん…』
だって、ほら
『…ちゃ…ん…』
懐かしい声がする
『…蛍…ちゃん…』
優しくて、温かい
陽だまりのような声
大好きな 声
──だいすき、な?
「ね…さん…?」
…姉さん?
姉さん、なの?
寝そべるようにして横たえていた体を起こす
周りは真っ白な景色ばかりで、地平線も見えない
此処は何処だろう
私は死んだのだろうか
もしかして、死んだから、迎えに来てくれたの?
「姉さん…?」
大好きな姉さん
もう二度と会えないと思ってたのに
同じ処には行けないと思ってたのに
「姉さん…!」
会いたい
姉さん
『蛍…ちゃん…』
声しか聞こえない
真っ白な光の中のような世界で、その声だけを頼りに縋るように手を伸ばす
何も見えない
でも確かに触れた
掴んだ衣類を手繰り寄せれば、懐かしい匂いがした
嗚呼、これだ
姉さんの匂いだ