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いろはに鬼と ちりぬるを【鬼滅の刃】

第17章 初任務《弐》



 体の内部から異物に侵されていく感覚。
 思うように動かせない四肢が、びくりびくりと痙攣する。
 華響の術により体内から芽吹いた種は、蛍の体を無防備な内側から襲った。


「 で は 答 エ 合 わ せ ヲ し よ ウ か 、蛍 。妾 は 生 憎 、数 字 持 チ で は な イ 」

「げ、ほッ(数字、持ち?)」


 声を吐き出そうにも、喉奥をずるずると擦れる蔓が太さを増し邪魔をする。
 胃液と共に嗚咽を繰り返す蛍の顎を優しく持ち上げると、華響は顔を屈めて微笑んだ。


「 十 二 鬼 月 の コ と だ 。妾 が 求 メ る も の ハ 美 し さ ダ け 。強 さ ナ ど 二 の 次 で い イ 。数 字 に 拘 る 鬼 は ご ま ン と い る が 、妾 は ソ ん な も ノ に は 興 味 な い 」

(そんな、鬼もいる、の?)

「 お 前 が 妾 か ラ 見 れ ば 異 端 な よ ウ に 、妾 も 数 字 に 拘 る 鬼 共 か ラ 見 れ ば 異 端 だ ロ う な 。こ の 美 し い 都 で 永 遠 ノ 美 を 求 め て 生 き テ い け れ バ そ れ で い イ 。だ か ら 不 必 要 ナ 殺 生 は シ な い 。無 暗 矢 鱈 と 喰 い 散 ら か シ て い れ バ 、鬼 狩 り モ 集 ま っ テ く る ダ ろ う ? 」

「何ふざけたことを…っ多いも少ないも関係ねぇだろ! 人殺しに!」

「 妾 が 生 き ル 為 だ 。そ の 為 ノ 食 事 に ギ ゃ あ ぎ ゃ あ ぴ い ピ い と 、人 間 共 ハ 煩 い 」


 背後で捕えられ宙吊りにされた後藤が叫べば、呆れの溜息をつきながら華響は興味のない目を向けた。
 亡き妻を思わせる瞳は夫であった亡骸を見下ろし、無情に踏み付ける。


「ッやめ、で」


 がしりと、華響の細い手首を掴んだのは血を滴らせた鬼の手だった。
 真っ赤に充血した目で、それでも睨み付けながら蛍の口が血と共に思いを吐く。


「それ以上、ぞの人を、愚弄しない、で」

「 何 故 だ ? お 前 と コ の 男 は 赤 の 他 人 だ ろ ウ ? 拘 る 理 由 が ど コ に あ る 」

「ぞんなの、関係、ない」

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