第16章 初任務《壱》
「俺だから感じてくれるのだろう? 蛍の、体は」
「ぁっ…は、ん」
流し込むように、耳元に唇を寄せて囁く。
簡単に壊れてしまいそうな華奢な体を艶やかに赤らめ、蕩ける瞳で喘ぎを落とす。
本来ならば絶対に手を出すことはなかった年端もいかない少女を、この手で快楽に落としている事実。
それが言いようのない背徳感で体を痺れさせるのだ。
(誰も知らない、俺だけが知っている蛍だ)
そしてその事実が、杏寿郎に拍車をかけた。
自分を通して恐怖の対象を感じていた蛍だったが、その対象でさえ知らないであろう蛍の姿を、今自分は見ている。
その姿を自分の目にだけ、焼き付けていたくて。
「だめ、だって…こんな、」
「何が駄目だと? 任務に赴いているからか? 幼子の体をしているからか? それならば体を重ねる俺と蛍が人と鬼であること自体、問題だろう」
「…っ」
幼い瞳が大きく見開く。
指を口に含んだ時の、羞恥と驚きに満ちたものではない。
そこには痛みも伴う影が見え隠れしていて、杏寿郎はすぐに失言だったと後悔した。
「すまない。言い過ぎた」
恭しく唇を重ねる。
その痛みを払拭させるかのように、いつもより小さな口内を丁寧に舌で犯した。
「ふ、ん…っん、」
「っは…俺は、蛍がどんな形(なり)であれ欲情する。誰も知らない蛍の姿を見てみたいと思う」
「っぁ…」
「色香を纏う君の前では、恥も品位も捨てたただの男だ」
困窮した表情で笑いながらも、袴の下で弄る手には熱意がこもる。
下半身へと下る手が、湿った蛍の秘部へと触れる。
太い指先でゆるりと蜜口を撫でられ、蛍の体がぴくんと跳ねた。
その大きな手から伝えられる愛撫だけではない。
色欲と愛情に満ちた瞳に捉えられ、一心に求めてくるただの男の姿に、体がざわめく。
その男から与えられる全てが欲しいと、呼応するのだ。
「だから踏み込ませて欲しい」
いつもは、踏み込んでもいいだろうかと、承諾を求めるような問いかけをしていた杏寿郎だ。
その声が余裕を残さず求めてくる。
ぞわりと幼い肌が震えた。
じわりと蜜口が濡れる。
答えなど、体がわかり切っていた。