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いろはに鬼と ちりぬるを【鬼滅の刃】

第15章 情炎 あわひ 恋蛍✔



「…何故だろうか…幼子のような扱いを受けている気がしてならないのだが…」

「いいんじゃありませんか? 偶には自分が世話される側に回るのも」

「しかしだな。子供扱いは如何なものかと思わないか? 胡蝶」

「竹林を吹き飛ばして喧嘩をするような御人は、十分子供です」

「……む。」


 後ろから杏寿郎と胡蝶の会話は伝わるけど、一番賑やかな蜜璃ちゃんの声がない。
 ようやく肩の荷が下りたような感覚にほっとしながら振り返れば、桜餅色の女の子はちゃんと杏寿郎の隣にいた。

 いつも弾んだ桜色の頬を尚赤くし、俯きがちに。
 もじもじと手を口元に添えて、伏目がちに黙っている。
 今まで何度も見てきた蜜璃ちゃんの胸きゅん姿とは、まるで違う。

 あれ…てっきり私と伊黒先生とでまた蜜璃ちゃんを守り隊宣言をしたから、胸きゅん爆発させて喜ぶかと思ったのに。
 前と全然違……待てよ。


「……」

「なんだその目は」

「…伊黒先生の幸せ者め…」

「意味がわからんがそれは喧嘩を売っていると取っていいか」


 だって、蜜璃ちゃんが。
 あの蜜璃ちゃんが。

 皆まで言わずともわかる。
 あれは、もう、あれだ。
 誰にでもすぐ胸きゅんしていた蜜璃ちゃんが、本当に胸を弾ませるべき相手を見つけてしまったんだ。

 これを幸せ者と罵らずしてなんとする。


「ははは! その喧嘩は任務後に満足するまでするといい。語り合いという形でな! だろう甘露寺!」

「きゃっ! あ、は、はい! そうね! 二人共、喧嘩は仲良くしましょ!」


 仲良く喧嘩ってどういうこと。
 と突っ込みたくはなったけど、杏寿郎に背中を押された蜜璃ちゃんが慌てて自分を取り戻すところを見ていると無闇に突っ込めない。

 …帰ってきたら蜜璃ちゃんと即恋バナをしよう。
 蜜璃ちゃんの将来は明るいものであって欲しいから、気の迷いなのか本命なのか、きちんと私が見極めないと。

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