第15章 情炎 あわひ 恋蛍✔
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「ん…っ」
俺の両肩に置かれた蛍の手が縋るように握る。
それでも鋭い爪で俺の服を裂かないのは、決して隊服の強度だけが理由ではない。
初めて抱いた日も、一糸纏わぬ姿で俺に縋り付いてきた腕は、鬼の屈強さとは程遠かった。
鬼でありながら、この時ばかりは力を潜め、ただただ無防備な姿を晒(さら)す。
そんな女としての顔を晒す蛍が、心底愛おしいと思う。
「気持ちいいか?」
「ぅ…ん、」
「どこがいい? 教えてくれ」
「っぁ…そ、こ…今の…っ」
喘ぎが混じる細い声で、それでも俺の問いに必死に応えようとしてくれる。
膝立ちで立つ蛍の開いた脚の間の付け根は、着物で隠れていてよくは見えない。
それでも白い腿は、その着物の下から艶やかに俺の視覚を刺激してくる。
いつも身に付けている袴だけを脱がせた状態で、座る俺の肩を支えに膝で立ち股を開く。
そんな蛍の姿を見ているだけで頭がくらくらするようだ。
それでも俺の指は、ししどに濡れた蛍の中に埋まったまま。
言われた通り快楽のツボを探すように折り曲げた指で膣口の裏を擦れば、蛍の細い頸が仰け反った。
「は、ぁっあ」
甘い声が跳ねる。
歌声のようにも聴こえる嬌声に、自然と秘部への愛撫にも熱が入る。
蛍の肌にこの手を這わせるのはこれで何度目か。
数える程度だが少しずつ理解してきた。
どこをどう解せば、蛍の体は淡く色付くのか。
どこをどう愛せば、蛍の瞳は欲に濡れるのか。
それでも自分の善いところを辿々しくも伝えてくれる姿が健気で、愛らしくて。
つい問いかけることを止められずにいる。
「ぁ、あ…っふあッ」
かくかくと腰の震えが増す。
肩を掴むだけでは支えられなくなった体が、俺に覆い被さってくる。
空いた手でうなじの髪を掻き上げるように撫でれば、蛍の歌声が更に艶めいた。
「も…っ」
「ああ。好きな時に気をやるといい」
「ぅ、んン…!」
増やした指で重点的に蛍の弱いところを責める。
泡立つような水音が激しさを増せば、びくりと蛍の体が一層跳ね上がった。