第15章 情炎 あわひ 恋蛍✔
玄弥くんと言葉を交わす時には、口止めされてるから踏み込んだ不死川の話はできないけど。
代わりにこうして不死川には、会う度に玄弥くんの新しい情報を伝えてる。
相変わらず二人の立ち位置は変わってないみたいだし、少しでもこれで玄弥くんに歩み寄ろうとしてくれればいいなって。
玄弥くんのことを口にすれば小姑みたいに煩くなるけど、反面玄弥くんへの思いが伝わってくるからやめられない。
そんなに好きな癖に素直じゃないなぁ…。
……まぁ、不死川の覚悟もわからなくはないけど。
でもそんな好転した柱もいれば、そうじゃない柱もいる訳で。
例えば蜜璃ちゃん。
いや、悪い方に転がった訳じゃない。
ないんだけど。
「蛍ちゃん、あのねっ」
「なぁに?」
「あのね、その…煉獄さんとは最近どうなのかしら!?」
「…最近とは」
「やだぁ! そんな恥ずかしい説明できないわ!」
「いや…別に、普通だけど…」
「え!? 普通に愛を育んでいるの!?」
「いや普通に師弟の関係として」
「そういえばいつからそんな仲になったの!?」
「いやだから」
「煉獄さんからっ? やっぱり想いを告げるのは殿方からであって欲しいわよねっ!」
「……ソウデスネ」
会えばそわそわと私と杏寿郎の顔を伺って、一人でなんだかきゅんきゅんしてる。
そして二人きりになれば即恋バナ。
いや嫌いじゃないよ恋の話。
寧ろ好きだよ炭治郎とカナヲちゃんのこととか、伊之助とアオイのこととか、頸を突っ込んで訊きたくなるから。
気持ちはわかるよ。うん。
でも自分のこととなるとなんだか照れ臭い。
そんなに喰い付かれると尚更足が止まってしまう。
でも蜜璃ちゃんは止まってくれない。
猪突猛進でぶつかってくる。
胸をきゅんきゅん鳴らしながら。
「大切な師範と、大好きな蛍ちゃんがそんな関係になってくれたなんて嬉しいわ」
…まぁ、本当のことだから否定する気はないけど。
心底嬉しそうに笑う蜜璃ちゃんを見ていると、まぁいいかな、と思えてくるし。
そこが蜜璃ちゃんの魅力だと思う。
「ありがとう、蜜璃ちゃん」
「ふふ、お礼なんて。煉獄さんとの愛の育みを沢山聞かせてくれれば!」
「う、うん…?」
でもやっぱり恥ずかしいものは恥ずかしい。