第8章 美味しいご飯
『っ…どうして…嘘をついたんですか…?』
数秒間、僕の腕の中にいた千鶴ちゃんは泣き止んだ。
すると、僕にそう聞いてきた。
沖田「ん?…んーだって、キミが構ってくれないんだもん。」
『…私、ご飯の支度をしているんですよ…?構ってあげられる余裕なんて…』
沖田「ふーん…。」
まあ、こうやってキミを
僕の腕で包み込んでいるだけで、
けっこー幸せなんだけどね。
彼女の首元に腕を回しながら、
そう思った。
そして、抵抗をしようとしない大人しい彼女を見て、
僕はまた、彼女の肩に顔を埋める。
『っ、沖田さん、私ご飯を──』
沖田「お願い…あと少しでいいから。…こうさせて…」
『っ……』
僕は、少し熱くなった彼女の体を
存在を確かめるように抱きしめていた。