第5章 春に出会った
近藤「はははっ。俺も驚いたよ。あの和さんに、娘がいたとは。」
『……お知り合い、だったなんて…』
近藤「まあ、今後も、和さんによろしく伝えておいてくれまいか。縁は切りたくないからね。」
また、はははっと愉快に笑いながら、
近藤さんは腕を組んだ。
と、その時。
斎藤「局長、」
近藤「ん?…おお、斎藤くんか。どうかしたのか?」
斎藤「いえ…山崎くんが、彼女の腕に塗る薬を渡してきたので…」
近藤「ああ、そうか。」
私と近藤さんがいる一室の外に、
二つの影が見えた。
一人は、斎藤さんのようだ。
障子の向こうから、近藤さんに話しかけている。
…もう一人は…??
沖田「近藤さん、僕も入っていいですか?」
『っ!?』
近藤「総司も来たのか?」
沖田「ええ。やることが無くて…ヒマなんですよ。」
ゆっくりと、斎藤さんが障子を開けると共に、
沖田さんも、障子の脇から顔を覗かせた。
近藤「なんだ、歳と遊んでいれば良いではないか。」
沖田「嫌ですよ。今はあまり、騒ぎたい気分じゃないし。」
冗談半分で言った近藤さんに対して、
沖田さんは呆れ顔で答えた。
沖田「それに───」
『っ…?』
と、近藤さんに向けていた目を
私に向けた。
沖田「…彼女とも、少し話してみたくて。」