第5章 春に出会った
『…あれ…?』
そういえば、と気付く。
『文はっ…』
母上から預かった文が見当たらない。
まさか…落とした…?
近藤「ああ、文なら"受け取った"よ。」
『…え?』
受け取った?
ま、まさか…
近藤さん宛てっ!??
近藤「そうか、キミはあの和(より)さんの娘さんだったのか。」
和とは、私の母上の名前だ。
『あの…母上をご存知なんですか…?』
近藤「うむ。幼い頃、よく一緒に団子を食べていたぞ?」
『えええっ!?』
傷の痛みも忘れて、
私は叫んでしまった。
だって───新選組の局長さんと、私の実の母上が
知り合いだったなんて…!!
驚かずにはいられない。