第5章 春に出会った
『……ん…っ?』
目が覚めると、私は
見知らぬ天井を正面に
布団に入っていた。
…ここは───
近藤「おお、目覚めたか。」
『………ええっ!??』
しばらくボーッと見つめ、その人が
誰かを判断した瞬間、
私は飛び起きた。
『あゔっ…』
近藤「っまだ起き上がってはダメだ。出血の量が多すぎて、貧血気味になっているからな。」
傷を痛がる私を気遣って、
新選組局長の近藤さんは起き上がった私を
また寝かせてくれた。
…もっと怖そうな人だと思ってたけど…
イメージと全然違うな…。
『あ、りがとう、ございます…』
近藤「はは。礼を言われるようなことはしておらんぞ?」
『…あの、ここは…?』
わかっていたけど、一応聞いてみる。
近藤「ああ、ここはだな、新選組の屯所だ。…失礼極まりないが…昨夜、倒れたキミをここに連れてきてもらったのだ。…こちらの都合で怪我を負わせたのに、放ってはおけないからね。」
『…そう、なんですか…』
詳しい説明を聞いて、
殺されることはまず無いかな。
と、何気なく安心してしまった。