第5章 春に出会った
斎藤「…怪我はないか?」
『…え?あっ、その…』
斎藤「…右腕と左頬か。手当てせねばな。」
『いえ、大丈夫ですっ』
斎藤「ならば苦しい顔をするな。」
『っ…すみません…』
俯いて、静かに呟いた。
ああ、どうしよう…
意識が朦朧とする───…
沖田「キミって、何かと運が悪いよねぇ。」
沖田さんは、ため息を吐きながら
私を見下ろしていた。
でも、沖田さんの言葉は、私の耳には───
入っていなかった。
斎藤「…右腕の方はずいぶんと深手だな、出血量も多い。これはすぐに山崎くんに──」
『───…』
沖田「え、ちょっ」
淡々と、私の傷を見て話す斎藤さんと、
倒れる私を見て驚く沖田さんをよそに──
私は気を失った。