第5章 春に出会った
斎藤「早めに片付けるぞ。」
沖田「分かってるよ。」
沖田さんの隣には、
三番組組長の、斎藤一もいた。
月に照らされ、夜風に揺れる
浅葱色の羽織りが、その時は
とても美しく見えた。
沖田「はあっ。…ホントに、山南さんってば監視が足りないんだよ。いっつも抜け出してるじゃん、この"人"たち。」
斎藤「山南さんは忙しいのだ。多すぎるために、監視しきれていないのだろう。」
沖田「なら増やさなきゃいいのにさぁ、…研究、研究って言って、失敗ばっかりじゃん。」
斎藤「失敗を積み重ねていくたび、成功に近付く。」
沖田「近付いてるの?」
斎藤「……」
わけの分からない話をする二人の顔を見上げ、
私は一人、思った。
…また、助けられちゃった…。