第5章 春に出会った
『っ…』
追ってくる…!!
これじゃあ、家には帰れない。
もし家に帰ったら、父上や母上も
殺されてしまうかも知れない。
ここは逃げ切らないとっ…!!
『はあっ、はあっ、はあっ、』
───でも、いったいどこに…??
特に痛む右腕を押さえながら、
バランス悪く走り続ける。
痛い…
血が止まらないっ…!!
私の着ている黄色の浴衣は、
腕から流れてくる"真っ赤な液体"によって
黒く染まってしまっていた。
一刻も早く、出血を止めないとっ…
出血死してしまう。
『あ゙っ』
家から遠く、遠く離れた場所にある
小さな橋の前まで来たとき。
小さな石に躓いて転んでしまった。
『っ…たぁ…』
右腕と、転んだ拍子にぶつけた部分の
痛みのあまり、私は声を漏らした。
すると、立ち上がる間もなく、
ヤツらが追い付いてきた。
っ…どうしようっ…
このままでは、殺されてしまう。