第5章 春に出会った
『な、何をするんですかっ!?』
私は、その"人物"の方を見ながら叫んだ。
『いきなり…危ないじゃないですかっ…ぁ』
私は、思わず口を噤んだ。
この"人"───おかしい…?
月に照らされて…ではなく、自然な輝きを放つ
真っ白な長髪と、黒い瞳(ひとみ)の無い赤い目…。
私にとって、初めて見るような"人種"だった。
『だ、誰なんですか、アナタはっ…!?』
???「ヒヒヒヒッ」
それに、さっきから不気味に笑ってばかりで───
"言葉"をいっさい発していない。
どうも、おかしい。
いったい、この人は誰なの──?