第5章 春に出会った
『それでは、行って参ります。』
母「気をつけてね?最近は、"辻斬り"が多いらしいから…」
『はい、大丈夫です。』
母「…頼んで、悪いわね…」
『いえ、いいんですよ。母上は休んでいてください、お体に障りますから。』
母「…本当に、ごめんなさい。」
『気にしないでください!!…では。』
母「いってらっしゃい…小太刀を忘れずにねっ?」
『はいっ』
小太刀を腰にさしながら家を出ようとする
私に向かって、母上は
心配そうな表情を浮かべながら見送ってくれた。
『ううっ、寒い…』
桜が咲いてきたとはいえ、まだまだ寒い季節。
あと、ふた月ほどすれば、暖かくなるかな?
と、文を手に持ちながら
肩を抱いた、その時。