第13章 それを返せ!
お茶を静かに飲む土方さんを見て、
ふと思い出す。
『…水の北、山の南や春の月…』
と、あの句を声に出した瞬間───
土方「ぶっ!!」
『へっ!?』
いきなり、土方さんが飲んでいたお茶を吹き出した。
土方「ゲホッゲホ、ゴホッ…」
『だ、大丈夫ですか土方さんっ!?』
苦しそうに、ぜぇぜぇと息をする土方さんの背中を
トントンと叩いてあげた。
…そういえば、この光景って…
今日は二回目だ…。
土方「けほっ……雪村…」
『っ、はい?』
土方「…その、句をどこで…っ」
まだ苦しいのか、胸をおさえる土方さん。
どこで、って…
『今日でかけた時、沖田さんに、豊玉発句集という冊子を見せてもらって…』
ガタンッ!
『ぇ』
私がそう言うと、土方さんは勢いよく立ち上がった。
茶碗の中のお茶が、ゆらゆらと揺れている。