第13章 それを返せ!
お盆の上で、カチャカチャと茶碗と急須(きゅうす)がぶつかる音を辺りに響かせながら、私は土方さんの部屋に急ぐ。
『失礼します。…お茶をお持ちしました。』
土方「ああ、入れ。」
スーッ…と障子を開け、お盆を持って部屋に入る。
すると土方さんは、なにか書き物をしていた。
大変なんだなぁ、副長の仕事って…。
もう、辺りは闇に包まれている。
その暗闇から逃げるように、行灯(あんどん)に灯された明かりは揺れていた。
土方「はぁ…」
『…ずっと、お仕事をされていたんですか?』
疲れたのか、目頭をおさえる土方さん。
お茶を机に置きながら、私は聞いてみる。
土方「まぁな。」
『そうですか…お疲れ様です。』
何と答えていいか分からずに、私はただ微笑んだ。