第2章 想い
ったく・・・。なにやってるんだ。俺は、30手前のおっさんが未成年のガキに心配されるなんてよ・・・。
俺もまだまだだね〜。
あいつの得意げな顔見たら、断るにも断れないしなー。
明日、少しでも不味かったらケチでもつけてやろうかな。
しかし、それは予想とは、反していたのだった。
お弁当の中身は、とても普段から作り慣れたような見た目をした具材でいっぱいだった。
卵焼き、ひじきの煮物。肉じゃが、タラの煮付け。色とりどりの具材でいっぱいのちらし寿司だった。
とくに、卵焼きは群を抜いて美味しかった。
ほんのり甘みのある味付けに、昆布ダシが効いていた。
ひじきの煮物は、甘辛く調理してありとてもあっさりとした口当たりだった。
肉じゃがは、きちんとジャガイモは煮崩れすることがなく、肉もほぼ形を変えることなく、味が染み込んでいた。
タラの煮付けは、魚独特の生臭さを抑えた状態になっていたり、鱗がとってあったり、小骨がきちんと処理されていた。
ちらし寿司はエビや錦糸卵といった具材が酢飯と程よくマッチしており、とても絶品だった。
悔しい程、非の打ち所がない料理だった。
長年独身生活をしている俺でもこの技術は未だに習得できていない。