第2章 想い
その人物はオミちゃんだった。
「よっ!お前ら、相変わらず仲良しだな。」
「あれ?オミちゃんなんで居んの?」
「言ったろ?今日、家庭訪問だって。母ちゃん父ちゃんいないのか?」
「仕事中っすよ。基本夜勤でこの時間はいつもいないんだよね。」
「あっそ。じゃあ、いいや。お前だけで。」
「それではお邪魔しまーす。」
土岐田はいつものラフな着こなしでは無くきちんとした服装のため、笑いを堪えるのに必死だった。
「ねえ・・・?お兄ちゃん・・・??」
「ひぃ・・・・・っ!!」
徹也が恐る恐る振り向いてみると、そこにはものすごく笑顔で怒っている葵ちゃんが立っていた。
「家庭訪問ってどういうこと?一言も聞いてないよ?」
「お手紙お前の家に渡したぞ?本郷?塚本の家にも。どういうことだ?」
「お、俺は千羽鶴作った・・・。」
「ぼ、僕は紙飛行機にしてどっかに飛ばした。」
「説明になってないよ。二人とも。言ったよね?もう、千羽鶴作らない、紙飛行機二度と作らないって言ったよね?」
「どういうつもりなの?お兄ちゃん?それに、先生も先生ですよねー、ズボンのチャック開いてるし。ボタンずれてるし。教師のくせにだらしないですよねー。おじさんなんだからもう少ししっかりして下さい!」
なぜか俺たちへの怒りはどうやらオミちゃんにも向かった。
「でも、中に履いている魔法少女スピカちゃんのパンツとっても可愛いと思うよ!!!私、スピカちゃん大好きなんだー!!おじさんも好きなの?」
「うん、まあね。おじさんグッズ持ってるよー?」
「えー、良いなー。葵ねー、お兄ちゃんケチだから何にも買ってくれないのー。おじさん買って〜♡」
そこに割り込んできたのは意外にも翔子だった。
「ダメよ。葵。こんな変態なオッサンにおねだりなんて。誘拐されるわよ。真緒におねだりしてご覧なさい。買ってもらえるかもよ?」