アイドルだって恋しちゃいます!【アイナナ】R18禁
第8章 届かぬ想い/九条鷹匡
凛と九条鷹匡の出会いは半年前。
九条鷹匡がプロデュースしていたアイドル歌手ゼロ。
突然、何も言わず姿を消してしまった。
九条鷹匡は、ゼロを捜し日本国内を捜しまわっていたがゼロの消息は摑めないまま年月は過ぎていく。
ゼロを捜す事に疲れ果てていた九条鷹匡は、偶然にも公園で小さな子どもたちの前で歌っている凛と出会った。
その歌声はまるでゼロのように人々を魅了するかのよう。
ぐずって泣いている赤ん坊でさえ、彼女が歌えば泣きやむ。
そんな彼女の歌声に惹かれた九条鷹匡は、ゼロを捜すのではなく彼女をゼロ以上のアーティストに育てたいと思ったのであった。
「キミはアイドルになる気はないかい?」
「アイドル?……私が……ですか?」
「僕ならキミをトップアイドルにしてあげる事が出来るよ」
「私みたいな女がアイドルなんて無理ですよ」
苦笑いを浮かべ、九条鷹匡の話をやんわりと断る凛。
別に彼が怪しいから断ったわけではない。
ただ、凛にはアイドルみたいな煌びやかとした世界が苦手なだけ。
「そんな事はない……キミには素質がある」
「素質なんてないですよ」
「僕にはわかるんだよ」
柔らかく微笑む九条鷹匡がまるで泣いているかのように見えてしまった凛は、彼の申し出を受ける事にした。
それが凛にとっての恋の始まりであった。